『豪州制圧』の詔を受け日本国振興のために戦い続ける武士たち
最近、ブリスベン、ゴールド・コーストのライブハウスに「豪州制圧」の御旗の元、4人の武士が出没中。着物を基調とした衣装で、ロックのメロディ・ラインに乗せ、日本古来の楽器を巧みに組み入れながら、日本語歌詞を高らかに歌い上げる彼らの名は「OROCHI」。今月は、このOROCHのリーダー・ヨリトモ(ギター)とウシワカ(ボーカル)の2人にインタビューを敢行。謎の多い彼らの素顔に迫る特別編をお送りする。
(この記事は2005年8月号のバグースマガジンに掲載されました)
OROCHI / ROCK BAND
リーダーのヨリトモ(ギター)とウシワカ(ボーカル)の2人を中心に03年10月に発足。その後、ベンケイ(ドラム)が加入。05年6月より新ギタージンベイが加入、新体制で舞台に臨む。着物や刀、琴や笙(横笛)、太鼓など、日本古来の文化を巧みに用いたステージングで、現在、ブリスベン、ゴールド・コーストのライブハウスを中心に旋風を巻き起こしている謎の集団。今年のナショナル・バンド・コンペティションG.C.地区大会優勝。QLD州大会決勝戦(9月タウンズビル)へと駒を進めた。
「豪州制圧」は神のお告げ
お国のために戦うことを決意

―最近、ライブハウスを中心に神出鬼没に活動中。オージーの間で大人気ということですが、将来はオーストラリアでのメジャー・デビューを狙っているのですか?

ヨリトモ:我々の目標は、音楽による「豪州制圧」。神のお告げを受け、日本古来の文化・伝統を軽んじ、白人文化を無意味に崇拝する日本人たちに喝を入れ、その誇りを呼び覚ますために活動している。まずは西洋音楽の代表であるロックの世界に殴りこみをかけ、制圧するために活動を開始した。1人でも多くの人に我々の姿を見てもらい、「日本」を知ってもらうことは必要だが、それは別に「音楽界での成功」を指しているわけではない。もっと大きな「大儀」のために活動している。『バンドでプロになる』とかならないとか…そんな些細な目的で活動しているわけではない!

―…最初から、かなりテンション高いですね。いつもこんな感じ?

ウシワカ:えぇ、まぁ。これがオレらの「教義」ってことで。…最初は、香港や台湾の人たちとバンドを組んだこともあったけれど、「自分が聴いて心地よい音」を追求していったら、この形になった。異国の地で暮らしていると、嫌でも自分が「日本人であること」を自覚するようになる。それを「音楽」というフィールドで表現しようと思ったらこうなった。

―「音楽」というフィールドを“決戦”の場に選んだのはなぜ?

ヨリトモ:「自分は日本人だ」って自覚ができると、そのよさとか本質とか、そういったものをきちんと伝えたくなる。それは他国の文化を全面否定するような、極端な「国粋主義」じゃなくて、自分の国の文化とか習慣に誇りを持ちたいということ。もし、自分が絵を描いたり、踊ることが得意だったら、それを選んだと思う。でも、自分には「音楽」しかなかったし、それが一番自然に自分を表現できる方法だった。
最初、日本語だけのステージをやると決めたときは、オージーに受け入れられるのかどうか、一種の賭けだった。だけど、自分を表現するのには、これしかないって確信していた。日本人にしか表現できない新しいものを創れると思った。ステージでは衣装や、メイクなどで多少誇張している部分もあるけど、これは「人を楽しませる演出」の部分。自分たちの本質は音にある。「音楽」なら、言葉の壁を軽く飛び越えることができる。最近はステージで演るたびに、それを実感している。観客も「おまえらは何て言っているか全くわからないけど、とにかくすごくCoolだ!」と言ってくる。自分たちは日本語だけで勝負し、実際に数々の大会を制覇している。
「英語が苦手だ」といって、自分からはなかなか行動しない奴もいるが、それは根本が間違っている。本気で伝えたいものがあって、本気で相手に伝えたいと思うなら、それは伝えることができる。自分の気持ちを伝えて、理解してもらう方法はたくさんある。言葉なんて、たくさんある伝達手段の1つにすぎない。それを言葉のせいにして、行動を起こさないのは、単なる甘え。もしくは、本気で伝えたいものがない奴のすることだと思う。

―作曲は、主にウシワカさんが担当しているということですが、どういったところからインスピレーションを受けて、曲を創るのですか?

ウシワカ:歌詞が先に思いつくこともあるし、曲のフレーズが先のこともある。だけど、どういう方法にしても「日本語の美しさを最大限に生かす」これが主題。だからあえて歌詞は日本語のみ。MC(※曲の合間の語り)以外、英語は使わない。言葉はそれぞれの文化を象徴するもので、日本語と英語は全くの別物。それを混ぜてしまっては、日本語が持つ本来の響きの美しさが伝わらない。自分が目指しているのは「日本と西洋の融合」だけではなく、「日本人の自分が創る独自の音楽」だから、曲を創るときは、自分の内なる声に耳を傾ける。自分の体に流れる「日本人の血」が刻むリズムを汲み取って音にする感じ。
ステージでのパフォーマンスもそう。自分は子供のころから古武道を習っているので、刀を使ったパフォーマンスや武道の形をステージで披露したり、琴や笙(※横笛)なども演奏するけど、そのときは、できるかぎり「本来の姿」を見せるようにしている。日本の伝統芸能は、やはり日本古来の伝統にのっとった形式のものが一番美しいと思うから。その姿を1人でも多くの人に知ってもらいたいと思う。

―最後に、今後の目標をお願いします。

ヨリトモ:まずは、音楽の世界から「日本の文化のよさ」を知らしめ、豪州音楽界を制圧する。そして、日本に戻り、天子様に「豪州制圧完了」の報告をするのだ。天子様より征夷大将軍に任じられ、「豪州幕府」を樹立する! これが我々の今後の目標だな。

――はっ??

ヨリトモ:そのときが来るまで、我々はこの地で戦い続けることを誓う! そして、読者諸君。日本人としての誇りを失いかけたら、ぜひ我々の戦う姿を見に来て欲しい。「日本人の魂」に触れ、英気を養い、またそれぞれの戦いの場に赴くのだ。日本人としての自分に誇りを持て! 自信を持って進めば、道は絶対に開ける。我々と共に、この地に「豪州幕府」を打ちたてようではないか!

―マジっすか?

ウシワカ:はい。天子様に報告のできるその日まで、自分たちは戦い続けます。

―ウソか真か? 彼らの紡ぎ出す言葉は、万華鏡をのぞき込んだときのように、不思議な光を放ちながら、くるくると変化する。昼間はそれぞれが学生として豪州社会に溶け込みながら、夜は着物と化粧、音楽で武装した武士(もののふ)となり、豪州社会に戦いを挑み続ける。その、若さからくる傲慢さすら魅力的に写る彼らの名はOROCHI。この豪州に突如現れた、若き武士たちの今後の活動にぜひ注目していきたい。
<思い出の品>
それぞれの愛器。これは我々が戦いに赴く際の武器であり、心の拠り所。1つ1つのステージが我々にとっては真剣勝負。「合戦の場」なのだ。愛器は、決して負けるわけにはいかない戦いの場での最愛の伴侶だ。
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